簡単に言うと、ベジタリアンは動物肉(鶏肉、牛肉、豚肉など)・魚介類(魚、エビなど)を食べない人の事を言います。また、ヴィーガンは原則として肉、魚介類だけではなくて、卵、乳製品などの動物性食品も食べません。そして食物の選択にとどまらず、ヴィーガンは出来るだけ動物の搾取を避けて、皮革製品や毛皮など、動物を殺傷して得られた商品も買わないことを主義としています。
読者の皆さんはずっと肉と魚介類を食べて来たので、ベジタリアン料理はちょっと想像しにくいでしょう。でも、ラーメン、カレー、バーガー、ピザなど、自分の好きな食べ物は何でもベジタリアン化できるし、食べられるものは本当に数えきれないほど沢山あります。
日本語ではベジタリアン料理はよく菜食と訳されて、それで皆さんはベジタリアンは野菜しか食べないと言うイメージを持っているかもしれません。本当はベジタリアンは穀物、果物、豆、野菜、ナーツなども食べます。「穀物」や「豆」を読んで、つまらないなぁと思っている人もいると思いますが、その分類には沢山の食べ物が入っていて、工夫したら作れるレシピは本当に何万もあります。例として、大豆はただの豆ですが、豆腐、納豆、えだまめ、味噌、醤油、豆乳など、1つの材料だけで食感と味が全然違う物は色々作れます。だから、肉・魚介類を食べなくても、毎日の料理で満足できます。
ベジタリアンは健康、環境問題、道徳など、様々な理由から動物性食品を食べません。
動物は感情、知覚、記憶を持っていて、苦情を感じる能力もありますが、肉にされる動物はとてもひどい扱いを受けます。肉がおいしくても、他においしいものは沢山あって、それに肉を食べる必要はまったくないから殺傷したり、苦痛を与えたりすることをやめていきましょうというのがベジタリアンの考え方です。
また、ベジタリアン料理は栄養価が非常に高くて、抗発ガン性のファイトケミカルなども多いので、健康志向の人もよくベジタリアンになります。
工場畜産は地球温暖化(家畜は世界のすべての車、トラック、飛行機、船などを合わせたよりも多くの温室効果ガスを発生させている)、森林破壊(喪失したアマゾン熱帯雨林の80%が輸出用の牛肉を生産するために破壊された)、汚染、水不足、生物多様性の喪失などの原因で、環境問題を気にかける人もよく肉を食べないことにします。
世界人口が70億人を超えた今、世界の海は急激に破壊されて、乱獲のせいで魚がいなくなっています。
最近の60年だけで、大型魚(マグロ・カジキなど)は90%以上海から姿を消して、世界の水産資源の80%はもう既に獲りすぎで枯渇の危機に瀕しています。専門家に、このままでは2050年までに世界の水産資源は全部枯渇状態になって、近い未来海はプランクトンとクラゲしかいなくなってしまうと予想されています。
その上、混獲とゴーストフィッシングなどの問題で、毎年数えきれないほ沢山のクジラ、ウミガメ、アザラシなどが死んでしまいます。
漁業がこのペースで続けたら、私たちの大切な海は確実に破壊されてしまいます。だから、海を守るために魚介類を食べないと決める人は多いです。
皆が食べる卵を生み出す鶏たちは大変苦しんでいます。現在、採卵鶏として飼育されている鶏種は肉用に向いていないので、雌雄鑑別を行った直後、不要なオスのヒヨコは毎年何億羽も生きたまま大型シュレッダーにかけられて、殺処分されます。または袋に投げ捨てられて、窒息させられます。
そして、メスの鶏もひどい扱いをうけます。日本では、90%以上の卵はバタリーケージというとても狭い檻の中で生み出されています。バタリーケージの1羽当たりの広さは22cm×22cmで、鶏自体と同じぐらいのスペースだから、自由に動くことはできません。数羽が同じ檻に入れられて、仲間に潰されて死ぬこともよくあります。その上、ケージの足元は金格子でできていて、鶏たちはまともに立つ事さえできません。金格子が足に食い込んで、腫れてしまいます。それで、卵産業の鶏たちは死ぬまでずっと苦しんでいきます。
実は、ベジタリアンの食品は肉と同じぐらいタンパク質が多いです。肉にあるアミノ酸(タンパク質を構成する物)は全部穀物、豆、ナッツ、野菜などでも取れるので、肉を食べなくても筋肉はちゃんとつけられます。また、肉よりもアミノ酸スコアが高いベジタリアンの食べ物(大豆、そば、キヌアなど)もあります。
だから、ベジタリアンのプロアスリート、フィットネスモデル、そしてボディービルダーは沢山います。9つのオリンピック金メダルを取ったカール・ルイスを始め、世界一有名なロッククライマーのアレックス・オノルド、レスラーのダリップ・シン、YouTubeのフランク・メドラーノなど、肉を食べずに一流のアスリートになった人はけっこう多いです。